若き店主と囚われの薔薇

「…今みたいな人間は、他にいくらでもいる。気にするだけ無駄だ」

「…だからって、耐えろっていうの？」

「仕方ないだろ」


『仕方ない』？

何が、仕方ないんだ。

私達は人間だ。

感情を持った、命ある人間だ。


全ては奴隷だから、というのなら、私は。


「…この先もずっとここで、あんな扱いを受けるなら…死んだ方が、マシよ」


身体は生きていても、死んでいるようなものだ。

腹が立つ。

あんな人間が、この世界で私達より裕福な暮らしをして、偉そうに生きているなんて。

そしてそれが、当然のように許されているなんて。


こんな世界で生きて行くなら、死んだ方がよっぽどマシだ。