若き店主と囚われの薔薇


………ああ、こんな夜は。


あなたのおそばにいたいのです、クエイト様。






歌が聞こえた。

透き通った、美しい女の声だった。


聞き覚えのあるその声に、俺は目を覚ました。

どうやら歌は、テントの外から聞こえているらしい。

俺は自分のテントから出て、その女の姿を見た。


岩の上に座り、月を仰ぎ、目を閉じ、歌をうたう。

そこにいたのは、赤髪の少女だった。




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