若き店主と囚われの薔薇
翡翠、再会、彼との思い出
あのあとエルガは、珍しく彼自身のことを教えてくれた。
『お前のことばかり知ってもつまらない』
なんて、失礼なことを言って。
私が気になっていた、彼の別の仕事について、教えてくれた。
彼は地面に座って、俯きがちにこう言った。
『俺は、宝石商をしている』と。
その言葉を聞いて、以前私に名前の由来を確認してきたことに、なるほどと思った。
インカローズの別名がロジンカであることは、あまり知られていないことだから。
驚いたのは、なんでもこの奴隷屋は、ほぼ趣味でやっているのと同じだと言ったこと。
あまりにも悪趣味だと思ったが、普段の彼を思い出してみると、納得できた。
エルガは、進んで奴隷となり得る子供を探し、連れ去るなどということはしない。
生活に困った親が子供を売りに来れば、彼は受け入れる。
それはまるで、保護のようにも思えた。