若き店主と囚われの薔薇
私はテンを見つめて、胸の底から、じわりと暖かくなるのを感じた。
…心配してくれているのだ。
この少年は、私を。
曇りない、純粋な感情で。
「…死なないわ。私は、絶対」
テンを、強い瞳で見つめる。
私の言葉に、テンは寂しそうな顔をした。
「…ほんとうに?」
「ええ」
「絶対だよ」
「もちろん」
今度こそ笑って言うと、テンもまた笑って、「そっか」と言った。
その安堵した顔に、心配させていたのだと実感する。
出会ってから、たった二ヶ月。
それでもテンは、こんなにも自分のことを考えてくれた。
記憶を失ってから、クエイトのもとで他人との接触が途絶えていた私に、それはとても久しぶりの感覚だった。