若き店主と囚われの薔薇
…綺麗。
深い緑色と淡い青色が混じったような、不思議な色をした石。
汚れのない白い布に包まれるようにしてあるのを見ると、彼がこの石を、他のものより大切にしていることがわかった。
しかも、加工されている。
石の端に穴が空いていて、そこに紐が通されていて。
…ペンダント…?
誰かへの贈り物だろうか。
そこまで考えて、私は思い出した。
…そういえば、この石に似たものを、クエイトが持っていた気がする。
見せてもらったとき、彼は私になんと言っていただろうか。
…確か。
ー…『名前は、翡翠』。
「触るな!!」
荒げられた声に、肩がびくりと跳ねた。
驚いて振り返ると、そこにいたのはエルガで。
顔をしかめた彼を見て、一気に血の気が引いた。