赤い狼*小ネタ集*





「え、何で?」



「いいから早く!」



「やだ!これは俺が買うんだ!」




激しく続く攻防戦。


連の腕を私が引っ張り、連は引っ張られた腕をまた引き戻す。


そんな攻防戦を終わらせたのは




「あっ!!!」



この私だ。




「稚春テメ「お願いします!」」




奪った指輪を握りしめ、後ろから追いかけてくる連に追い付かれまいとレジへと一直線に走って店員さんに指輪を差し出す。


それをまた奪おうとする連の腕をガシリと強く掴んだ。




「連ダメ。」



「ダメじゃねぇし。俺のだし。」



「じき連のになるなら今は我慢して。」



「意味分かんね………ん?」




連が首を傾げる。その様子に私も「ん?」と首を傾げたけど、すぐにその理由を理解した。


やってしまった。




「じき俺のになるって?」



「知らない。」



「え、おい。知らねぇわけねぇじゃん。今、稚春が言ったんじゃん。」



「知らないっ!!」




顔を覗きこんでくる連からふんっと顔を背ける。


すると、くすり。

楽しそうな小さな笑い声が耳を通った。連だ。連が楽しそうに笑っていやがる。




「あのー、お客様。」



ムッと顔を歪ませていると聞こえた店員さんの声にすぐさま顔から不機嫌を除く。




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