赤い狼*小ネタ集*
苦しそうな声を出しながら踞る連。と、同時に若干ざわつく店内。
その原因は私にある。が、私はやって当然のことをしたまでだ。決して悪いことはしていない。
「容赦ねー。」
「こんなところで抱きつくからでしょ!」
「じゃあここじゃなかったら良かったのかよ!!」
「そーいう問題じゃない!!」
どうやったらそういう考えになるの!頭おかしいんじゃないの!?
まだ踞っている連を上から睨む。
そんな私に「んだよ。」と口を尖らせている連だけど、立ち上がろうとはしない。私のみぞおちへのパンチがよほど痛かったんだろう。ざまぁみろ。
「……あの、お客様。できました。」
「あ、ありがとうございます。」
おずおず。そんな単語が似合いそうな態度な店員さんからプレゼント用にラッピングされた指輪を貰ってにこやかに笑う。
そしてそのままその指輪をやっと立ち上がった連に「ん、8月10日の誕生日おめでとう。少し早いけど。」差し出した。
「え、くれんの?」
「連以外に誰が居るの?」
「~~っ!稚春、あっりがとー!!」
「ぎゃー!!だから抱きつくなっ!」
――チュッ――
「はっ?」
「お礼に、ほっぺにチュー。」
「…っ、連の馬鹿っ!!!」
それから二十分間、楽しそうに笑う連を全速力で追いかけたのは言うまでもない。
連の誕生日~完~