出会い
高校2年の春。

外では、桜が風にふわりと散っていた。

「田辺君、早く進路の紙出してよ!」

「いやだ。」

春野とかわした最初の言葉だ。

その日も桜が散っていた。
最初はなんとも思ってなかった。

進路の紙を取りにきた彼女は顔を真っ赤にしながらやってきた。

僕は不覚にもその怒ったような顔をみて思ってしまったんだ。

かわいいと…


最初に見たときはなんとも思わなかったのに。

そして、その日の夜、僕は進路の紙をゴミ箱に捨てた。
悪いこととは、わかっているのに。



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