赤いカスミソウ
三年前の記憶
夢を見た。



私には好きな人がいて



でもその人にも私ではない別の好きな人がいる。



それでも私は…



side・慧



「けーいさーん!!」


「……なんですか、天音君。」


「高橋さんの話聞いて「却下。」


「即答!?」



朝一番から目の前で泣き真似をする男の子は、藤咲天音。



クラスの中心で誰にでも好かれる彼は私、雨苗慧の元にことあるごとにやってくる。



だいたいが恋の相談だけど……



そんなことを考えながらも私は目の前に立つ男の子に目を向けた。



「……はぁ…藤咲はいっつも二言目にはそれだね。」


「だってさぁー、あんだけ可愛くって優しい子…滅多にいねーじゃん。」


「……あっそ。」


「あれ?もしかして雨苗、ヤキモチ?」


「ぶっ飛ばすよ。」


「暴力反対ィ!?」



そう叫んで藤咲は自分の席に戻った。


すると早くも藤咲の姿が見えない程、人が周りを囲んだ。


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