赤いカスミソウ
三年前の涙
あの時見た君の涙は
今も俺の中から消えない…
side・天音
高校最後の夏。
適度な設定温度の冷房がかけられている部屋に男が二人。
「なぁなぁ、天音!」
「なんすか?」
「なんでお前彼女作んねーの?」
俺の部屋なのに完全に自分の部屋のように寛ぐのは、葉山駿(ハヤマ シュン)さん。
高校のサッカー部の先輩兼キャプテンだった人で男の俺から見てもかっこよく、頭もいい。今は確か近くの某有名大学に通っている。
会うのは多分三か月ぶりくらいだ。
そんな久しぶりに会った一つ上の先輩に言われたのは意外な言葉だった。
「…いきなりっすね。何か裏が?合コンとか嫌っすからね。」
「失礼な奴だな、テメェは。特に深い意味はねーよ?てか俺彼女いるし。ただ、お前モテんのに勿体ねーなと。」
「………作れないっすよ。」
いや、正しくは『作りたくない。』
「ふーん…なんか事情でもあんのか?」
「さすが、駿先輩。鋭い。」
俺はふざけたように言ったけど内心心臓はバクバクしていた。
あの日を思い出すのは本当に久し振りだったから。
『彼女』のことを思い出すのは久し振りじゃないけど……
今も俺の中から消えない…
side・天音
高校最後の夏。
適度な設定温度の冷房がかけられている部屋に男が二人。
「なぁなぁ、天音!」
「なんすか?」
「なんでお前彼女作んねーの?」
俺の部屋なのに完全に自分の部屋のように寛ぐのは、葉山駿(ハヤマ シュン)さん。
高校のサッカー部の先輩兼キャプテンだった人で男の俺から見てもかっこよく、頭もいい。今は確か近くの某有名大学に通っている。
会うのは多分三か月ぶりくらいだ。
そんな久しぶりに会った一つ上の先輩に言われたのは意外な言葉だった。
「…いきなりっすね。何か裏が?合コンとか嫌っすからね。」
「失礼な奴だな、テメェは。特に深い意味はねーよ?てか俺彼女いるし。ただ、お前モテんのに勿体ねーなと。」
「………作れないっすよ。」
いや、正しくは『作りたくない。』
「ふーん…なんか事情でもあんのか?」
「さすが、駿先輩。鋭い。」
俺はふざけたように言ったけど内心心臓はバクバクしていた。
あの日を思い出すのは本当に久し振りだったから。
『彼女』のことを思い出すのは久し振りじゃないけど……