赤いカスミソウ
「一か月ももちませんでしたよ。」


所詮中学生の恋だからと周りは思うかもしれない。

でも高橋さんのことは本気で好きだったんだ。…


いや好きだと“思ってた”んだ。


それは只の憧れで、ホントに好きだったのは……



「だろうな。そんだけその慧ちゃんのことでいっぱいだったんだろ。で、慧ちゃんと連絡は?」


当たり前の様に言われた言葉に俺は内心驚きながらも平気なふりをして先輩に言葉を返した。


「取れる訳ないじゃないっすか。第一ずっと避けられて「ハァ…」


駿先輩は大袈裟に溜め息を吐き俺の言葉を遮った。


「なんっすか…?」


沈黙が続く……


カランッと机に置かれたアイスティーの氷が音を立てた。



「お前馬鹿だな。」


聞こえて来たのは


「会いたかったら会いに行けば良かっただろ。結局は拒絶されて自分が傷つくのが嫌だから逃げてるだけだ。」


「っ……」


俺の心を見透した言葉。


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