俺様ヤンキーに気に入られました。
…何この資料!!!ムダに重い!!!
こんなことなら、麻美に手伝って貰えば良かった~!
なんて、今さら後悔しても遅いか。
と思いながら、一人寂しく廊下を歩く。
すると、角のところに人影が見えた。
…………ゲッ。
今一番会いたくない男、滝川琉生。
よりによってなんでこの男が。
気付かれないように行こうと思った矢先、資料がガタッと音をたてた。
ビックウゥ!!!
咄嗟に壁に隠れた。
……あれ?
追ってくると思ったのに。
そーっと壁から顔を覗かせた。
さっきと同じ場所に立ってる。
………?
………あ、耳にイヤホンつけてる。
音楽聴いてるのかな?
ま、何にせよラッキーってことで♪
今のうちに行こうっと!
さっきよりかは、荷が軽くなった気がして、張れないように歩いた。
―――…!!??
なんでこうなったのか、何が起こったのかも分からない。
ただ分かるのは、今顔が痛いということ。
何故今?何故今このタイミングであたしは転ぶの?
「……クッ、ククッ。ふはっ」
どこからか笑い声が聞こえる。
誰がどこで何で笑ってるのかなんて、簡単に予想出来る。
ゆっくり起き上がって、笑い声の主、滝川琉生の方を見た。
「あはは、アハハハッ!!」
ばか笑いしていて、ちょっとムッとした。
立ち上がって、視聴覚室に向かおうとした。
「おい。」
ビクッ
「な、んですか?」
噛んだー。
動揺してるのバレバレー。
「重いんだろ?貸せよ。」
そう言って滝川琉生はヒョイッとあたしの持ってた資料を持った。
「あ、ちょっと!!いいわよ、別に!!!」
「女なんだから遠慮すんなって。」
「けどいいって言ってるでしょ!!??」
「……はぁ。じゃあ半分持てよ。」
半分なんて言いながら、あたしに渡した量はきっと3分の1くらい。
何なの、本当。
ヤンキーのクセに優しいとか……聞いてないし………。