俺様ヤンキーに気に入られました。
授業が始まって10分。
ようやく顔の熱がとれてきた。
真っ赤な顔で教室に入ったと思うと、めちゃくちゃ恥ずかしい………。
………絶対麻美に何か言われる。
「ちょっと、しぃ!!??」
はい、きたーーー。
予想通り、授業終了直後、不安と期待の入り雑じった顔をして、麻美が駆け寄って来た。
「な、何?」
「何?じゃないわよ!!どうしたの、遅刻なんて!!!」
胸の前で手を開き、横に振った。
「だから、資料を運んでて………。」
「じゃあどうしてあんなに顔が真っ赤だったの!!」
「そーれは……えーっとぉ……。」
「滝川君と何かあったの!!??」
ビクッと肩が上がったのがわかった。
「また、何かされたの?」
「え、やー。うん……?」
なぜ疑問系?
「何されたの!!??」
「えっと…………キス、かな。」
そう言うと、麻美は俯いて何かぶつぶつ言ってる。
え、ちょっと、麻美さん?
恐いよ、恐いから。
「本気で殺そうか。調子のんなよクソ滝川ッ!!」
「恐い恐い恐い恐い!!!恐いよ麻美!!!」
目が!目がマジだからッ!!
「それに、滝川君普通にいいとこあるから!」
ピクッと麻美が動いた。
「いいところ……?」
嘘でしょ?バカじゃない?
とでも言うような目。
「資料運ぶのね、手伝ってくれたんだ!!」
「………………………
……はぁ。本当、お人好し。」
「お人好しでもいいもんッ!!」
「しぃは変わった人と仲良くなるのが上手いよね。」
「そお?ってか、何気に失礼じゃない!?」
「褒めてるの!!」
うっそだー。
ケラケラ笑っていたら先生が入ってきた。
「HL始めるぞー。」
先生のムダな話を聞いてから「きりーつ、れー。」の号令がかかって、皆はそそくさと帰って行った。
「麻美~!帰ろ~!」
「あ、あたし今日約束があるから!」
「ごめん!」と言って顔の前で手を合わせている。
「いいよー。全然。
じゃああたし帰るねー、またね~!」
「うん、バイバーイ。」
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「さて、と。」
しぃが外に出たのを確認してから、教室を出た。