俺様ヤンキーに気に入られました。
ポケットからケータイを取りだし、電話帳からあいつ、坂下享のアドレスを探した。
ピッ――
「……あ、もしもし享?あたし。」
『おー、麻美どうしたー?』
電話の向こうから能天気な声が聞こえる。
「ねぇ、あんた…滝川琉生のアドレス知ってるでしょ?」
『…知ってるけど……何で?』
「教えて。」
『……何するの?』
「いいから。」
『…………わかった…。』
渋々、といった感じだが、許可してくれた。
信じてくれているのだろう。
「ありがと…。」
『ん、またな。』
「……じゃあね。」
ピッ――
ケータイを閉じ、ポケットに入れた。
~~♪~♪~♪
最近流行りの曲がポケットの中から鳴り出す。
もう一度ケータイを取りだし、受信箱を見た。
享からのメール。
件名も何もなく、滝川琉生のものと思われるアドレスだけが載っていた。
馴れた手つきで素早くメールを打つ。
『明日の昼休み、中庭に来て下さい。
池谷麻美。』
――――送信
パタンとケータイを閉じ、何食わぬ顔で家に帰った。
*******************
部屋の角にあるベットに横たわる。
「本気………なのかな……?」
あの時は本気なのかと思った。
目が本気だった気がした。
キスされて…思い出した。
滝川琉生の噂。
女子のグループの人たちが話してた。
『滝川君って、女遊び激しいらしいよッ!!』
『知ってる~!来るもの拒まず、でしょ?』
『いいな~、滝川君になら遊ばれてもいいわ~♪』
……あたしのことも遊びなのか?って思う。
だって…何であたし?
他に可愛い子いっぱいいるじゃん?