センパイと美術室で…
「松田センパイ!」
美術室の扉を開けると、松田センパイの姿が目に入った。
……なんとなくだけど、松田センパイの後ろ姿がますますかっこよくなっている気がする。
―――大好きだった、松田センパイ。
「……もしかして、双葉?」
松田センパイがわたしを見る。
「えっ?あっ、はい!そうです。よくわかりましたね」
「……そのネックレス」
松田センパイはそう言って、わたしの首もとを指差す。
「えっ?」
「そのネックレス、ずっと前からつけてたよね?」
「はい。……母の、形見なんです」
「形見?」
「はい。お母さんが死ぬ前に、わたしにくれたんです。あなたに似合うわって」
「……そうだったのか」
「はい。あの、松田センパイ……」
「ん?」
「ここで教育実習してるって、聞きました」
「ああ。あと一週間で終わるけどな」
「そうなんですか」
……あの時と全然変わってない。
松田センパイの笑顔。