センパイと美術室で…
「……なぁ双葉」
松田センパイが立ち上がり、わたしに近づく。
「はい?なんでしょうか?」
「双葉は今、彼氏とかいんの?」
「えっ?あっ、はい。一応……」
「ふーん。付き合ってどれくらい?」
「えっと、1年くらいです」
「彼氏のどこが好きなの?」
「えっ?ああ、えっと……優しくて、温かいところです」
「……ふーん」
「松田センパイは、彼女いるんですか?」
「いないよ」
「ええっ!なんでですか?センパイなら、彼女いてもおかしくないと思うんですけど……」
「そうかな?」
「はい。センパイは優しいですし、笑顔が素敵ですから」
「……ありがとう」
「はい」
松田センパイ、相変わらずカッコイイままだな。
全然変わってない。
「……なぁ双葉」
「なんですか?」
「俺、高校の時に好きなヤツがいたんだ」
「えっ、そうなんですか?」
「ああ。だけどそいつには彼氏がいて、俺にも彼女がいた。だからそいつに、好きだとは言えなかった」