文学彼氏
痛いところをつく四文字。
その言葉にあたしは言葉をなくした。
ほんとだ、あたし嘘つき。
でも困らせたくない。
聞き分けの悪い子
なんて思われたくない。
これもまた私の気持ち。
「瀬野くんは…寂しい?」
「寂しい」
「――――…っ」
携帯から聞こえるはずの声は
よりクリアにあたしの耳に溶け込む。
顔を上げると、あたしが通り抜けるはずの目の前の校門に寄り掛っている瀬野くん。
目はどんどん見開かれて信じられない現状にその場で固まってしまった。
「遅い」
「、え、あ、ごめんなさい」
あれ、なんで謝ってんだ私。
約束、してる訳ない。
だって瀬野くんは多忙だし
第一校門で待っているキャラじゃない。
じゃあ、目の前の
この人は誰なんだろう。
せ…瀬野くんだ。