文学彼氏
「ねえ朔」
「はい」
あまりの真面目な面持ちに
私の顔もつられて真面目になる。
椅子を引いて座ると
2人も続けて椅子に座った。
「今流行りの「ポケベル暗号」って知ってる?」
ポケベル暗号…?
素直に首を横に振ると若葉の強張った顔はパッと明るくなる。
え、なになになに。
「じゃあ試してみない!?
あのねポケベルの数字を
縦横かけて打つだけだからさ!」
若葉はまるでセールスマンのようにペラペラと手短に説明すると私の前に携帯を差し出す。
「…試すって誰に?」
「んなの決まってるじゃん。
朔の彼氏に!」
…ちょ、まって。
全然話についていけない!
「わーかーば。
朔パ二くってるよ。
もっと簡潔にまとめなきゃ」
「だってー。
あたしこういう
説明とか苦手なんだもん」
ぷいっと、顔を背けてしまった若葉に
まことは代わりに説明し始めた。