文学彼氏
あたしはドキドキしながら
事前に若葉が書いたであろう
ポケベル表を見ながら
【12715152324441】 と打った。
二つの数字一セットで一文字。
1
1 あ
2 い
3 う
4 え
5 お
こんな風に並べられた数字を見る限りこれは解けないだろう。
もしあたしのスマホに瀬野くんから
これが送られて来たら絶対分からない。
「送った?」
「お…送った…」
「わあー! 楽しみ!
瀬野くんなんて
返してくれるんだろうね!」
「でも、きっと遅いと思う。
いつもメール遅いし
加えて今日は暗号だし」
私の予想通り
一限目が始まっても
瀬野くんからの返信はなかった。
まあ、あれはやっぱり難しいよね
なんて思った一限目終わりの休み時間。
――――♪~♫~♪~。
「キター!」
「絶対瀬野くんからだよっ」
ここまでくるとあたしも
妙にこの状況を楽しんでいて
焦る様にスマホをポケットから
取り出しメールを開く。