文学彼氏
重ねた手を退かし
さっきの紙を取り出す。
そして紙とキーボードを
交互に何度も見つめる。
「―――っ」
瀬野くんが伝えたかった言葉を理解した瞬間、顔が火照るように熱くなった。
隣の友達が『顔赤いけど大丈夫?』と心配気に声をかけるも、あたしは頷くことで精一杯。
キーボードに印字してる文字を紙に書いてある暗号に沿って読んでいく。
xの印字の下に「さ」の文字。
hの印字の下は「く」。
それを一つずつ確認してくと…
―――今何してた?
―――朔のこと考えてた
瀬野くん、ずるいよ。
こういう言葉こそ
面と向かって言ってよ。
そうしたら私はこの言葉に
うんと応えるのに、なんて。
【秘密の暗号】
(せんせーい。朔が死んでるー)