文学彼氏







『ほら、あんたの不恰好な
お好み焼きもう十分に焼けてるよ』


「やった!」


『朔ちゃんってほんと妹みてえ。その線の奴にモテるでしょ』


莉衣の真向かいに座る 笠井くんが

ケラケラ笑いながらそう言うのを他所に


私は小皿に切り分けた
お好み焼きをハフハフ食す。


『どうよ、朔。
初めてのお好み焼きは?』


『は!? 朔ちゃんお好み焼き
食ったことねえの!?』


『そーなんだって、なんか両親がどっちもお好み焼き嫌いで食べる機会なかったらしい』

「んー。なんかパサパサしてる」

『いやホットケーキじゃないんだから当たり前でしょ』


でもシャキシャキしてて 柔らかくて

ソースと上手く絡み合っていて…。


「うん! 美味!」


『はははっ』


なんだコレ美味しい。
すっごく美味しい。


日本にまだこんなに 美味しい食べ物があったなんて知らなかった。




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