文学彼氏
私だってどうせなら優しく拭いてくれるお母さんがいいもん。
不貞腐れたように箸で
お好み焼きをつつくと
どこからか視線を感じる。
「?」
恐る恐る顔を上げると
思わず肩が跳ね上がった。
見られている。
瀬野くんにめっちゃ見られている。
な、なんなんだ。
口の周りにまだソースついてるのかな。
「名前、」
「え? ああ…よこたさくです…」
あんまり見つめないでほしい…。
だってこんな綺麗な顔した人に
見つめられたら誰だって照れる。
私は居心地の悪さを感じつつ、小さく口を開けお好み焼きを頬張った。
(あくまでも食べることはやめない)
「長谷川さん」
『ん? なになに! デートのお誘い? メアド交換? なんでもオッケーだよ!』
茶化すように微笑んだ莉衣に
瀬野くんは少し口角を上げてから