文学彼氏
それは初耳だ。
どういう意味だろう。
尚も窓の外を見る瀬野くんの
横顔に私は問いかけた。
「ねえ瀬野くん『やらずのあめ』ってどういう意味?」
「…内緒」
「えー!」
まさかのそりゃないよ。
お願いと懇願しても瀬野くんは
笑うだけでちっとも教えてくれなかった。
教えてくれなければくれないほど
気になってくのが私の性格。
「ちょっとググッてもいい?」
「だめ。辞書引け辞書」
「それじゃ家に着くまでわかんないじゃん!」
「いーのそれで。ほら止んだよとっとと帰る」
いつの間にか雨は止んでた。
やっぱり通り雨だ。
なんか腑に落ちないけど
でも、いーもん自分で調べるから。
「じゃあまたね瀬野くん」
「うん」