文学彼氏






それは初耳だ。

どういう意味だろう。



尚も窓の外を見る瀬野くんの
横顔に私は問いかけた。



「ねえ瀬野くん『やらずのあめ』ってどういう意味?」


「…内緒」


「えー!」



まさかのそりゃないよ。

お願いと懇願しても瀬野くんは
笑うだけでちっとも教えてくれなかった。



教えてくれなければくれないほど
気になってくのが私の性格。



「ちょっとググッてもいい?」


「だめ。辞書引け辞書」


「それじゃ家に着くまでわかんないじゃん!」


「いーのそれで。ほら止んだよとっとと帰る」



いつの間にか雨は止んでた。

やっぱり通り雨だ。



なんか腑に落ちないけど
でも、いーもん自分で調べるから。



「じゃあまたね瀬野くん」


「うん」






< 37 / 78 >

この作品をシェア

pagetop