文学彼氏
「瀬野くん、その本面白い?」
「中々。
でも、この自問自答矛盾してる」
ほら、なんてその箇所を
指さしながら見せてくるけど
やっぱり私には分からない。
地べたに座りながらテーブルの上にあるカップを掴みとりあえず相槌。
「朔暇してんの?」
「気付くの遅いな瀬野くん。
なんなら暇すぎて私ちょっと眠たいです」
「寝なよ」
「いいの?
じゃあちょびっとだけ」
「うん」
あいた片手で頭を数回ぽんぽんされる。
それだけで満たされちゃう私は安上がりな女だ。
へへっ、とニヤケながらソファーに頭を預けると、静かに目を閉じる。
なんだかんだで、私のほうが瀬野くんの隣を安心としているみたい。