文学彼氏
ある休日の瀬野くん宅にて。
私は電話中の瀬野くんをじーっと凝視したまま体育座りをしていた。
「あー、うん。分かった」
「……」
どうしよう、暇。
せっかく会えたのに。
折角のお家デートなのに。
あれ折角っていうか、最近お家デートしかしてないかも。
外デートとか二ヶ月くらい
してなくなくなくない???
なんて今更最近の
インドア気味を心配するわたし。
そんなことを他所にソファに腰掛け電話をする瀬野くん。
実につまらない。
とりあえずキッチンに行き珈琲を注いだ。
もちろんミルクと砂糖は必須。
「日時は? 分かんない?
何それまとまってから言おうよ」
「(…まだかなあ…)」
時計を見ると着信がきてから
まだ五分しか経ってない。
時間の進みを遅く感じつつ、瀬野くんのカップを持ち珈琲を注げば、口パクで〝ありがと〟なんて。