文学彼氏
「っ、た──────」
それも束の間、起こしてた体をソファの上に乱雑に押し倒された。
いきなりのこと過ぎる。
もうちょっと段階踏もうぜ瀬野くん…。
私の上に跨る瀬野くんは、意地悪げな笑みを浮かべて私を見下ろす。
そうして一言。
「寂しかった?」
このセリフがまた悔しい。
「……ほんのちょびっとだけね」
親指と人差し指でちょびっとの仕草を付け加えれば、瀬野くんの笑みが更に深まって。
「ふは。かわいい」
普段聞いた事もないようなその甘い声とセリフが、私を逃げだしたい衝動に駆られさせる。
「…な、!
…恥ずかしいんですか…」
カァア、と熱を帯びた顔を見られたくなくって両手で覆うも、すぐに瀬野くんによって露わにされる。
手首を掴むその骨ばった手が
無造作に乱れた前髪から覗かせる目が
赤く熟れた唇が、衣服から香る柔軟剤の香りが…
私の神経を甘くしびらせるんだ。