文学彼氏
嬉しくて胸が一杯で
何の言葉もでない。
うっかり気を抜くと
涙が出ちゃいそうだった。
「え、い、嫌でしたか」
狼狽気味の瀬野くんに
首を横にブンブン振ると
安堵したように息をつく。
「わ私誰かにこういうこと言われたの初めてです! だからその、なんていうか、されるのって、照れ臭いですねっ」
「僕も、告ったのは横田さんが初めて。あと言う方がもっと照れ臭いですよ」
「あはは。
あの……ぁ、
あたしもこの気持ちは
きっと恋なんだと思います。」
同じ強さで手を握り返すと
グイ、と瀬野くんの
方へ引き寄せられる。
「ヤバイ…、きっとここで人生の運全部使い切ったのかもしれないけど、全然構わないくらい嬉しい」
「いやダメですよ受験は?!」
「大丈夫アレは運じゃなくて実力で勝ち取れる自信あるから」
「わ、わすごい」
言いながらギュ、と抱きしめられるものだからもう色々なことにドキドキしすぎてて、さっきから鼓動が追いつかない。