文学彼氏





そのまま携帯を没収され
瀬野くんはまた、本を読み始めた。



「瀬野くん、瀬野くん」

「今度はなに」

「しりとりし…

「読書の妨げになるからやだ」



…ハーイ

大人しくしてまーす…。


退屈が限界を通り越したところで、手をグイッと伸ばして本屋の袋を取った。


コタツっていうのは不思議なもので一度入ると、生理的欲求がない以外出たくなくなってしまうものだ。


あたしと瀬野くんは同じコタツの一角に

二人してうつ伏せ状態で寝ころんでいる。



先ほどから肘をカーペットについて思い思いの本に没頭中の瀬野くん。


あたしは雑誌だけど…。



瀬野くん宅に行く途中で寄った本屋さんで、二冊の雑誌を購入した。



一冊はバレンタインデー特集。

もちろん渡すお相手はお隣の方。


もう一冊は、可愛い雑貨や家具の雑誌。

これは読んで満足するために。



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