文学彼氏
「ど、どうしたの?」
え、何かあった?
オロオロと狼狽すると
徐に瀬野くんの口が開く。
「朔、今日誰かに髪の毛触られた?」
「髪の毛??」
髪がどうしたんだろうと
自分のを手で触りつつ
なんとか記憶を探してみる。
あ。
「学校の男子に後ろから触られたけど、それぐらいだよ?」
「あー、もう…」
「え! それがどーかしましたか…」
「チッ、あいつ触りやがったか」
何やら舌打ちと共に黒い発言を呟いたと思ったら、わけが分からないまま私 は壁に押いやられる。
色々追いつかなくて頭は「?」で一杯。
触られたくなかったの?
でもどうして急に?
なんで触られたこと知ってるの?
「瀬野くん??」
「男の下心は簡単だから
それぐらい見抜け馬鹿」
「は、はあ」
とりあえず頷くと
それが逆に触ったようで
「っ」
手首を掴まれ、唇を強引に奪われた。