今…君のために出来る事 今…君のために生きる事
冗談だかなんだかワケの分からない事を言って…またマユミは笑った。『振られる』?そんな事あるわけないし、有り得ない。振るのはいつも私からなんだから…。


「先生…どうですか?」
この日、SAEと逢う約束をしていた。約束の時間は午後…僕は朝一番に病院にきていた。定期検査の為に…。先生は難しそうな顔で僕の検査結果を見ていた。
「…良くも悪くもなってませんね。」
「そうですか…。」
「…というのは、思っていたより進行が遅いみたいなんですよ。顔色もいいみたいですし…何かありました?」
それが本当かはわからない。話し方がなんか諭す様な感じに聞こえた。
「いや…別に普通ですよ?」
僕はそう答えた。先生の言う『何か』って、『支え』の事なのかな…。彼女と…SAEと出逢ってから…放り込まれた真っ暗いトンネルに光が見えた気がしてた。迷ったけど…出逢って
良かった。もし出逢わなかったら…僕は、今を生きるという道標を持てなかったかもしれない。
「そうですか…。あの…、言いにくい話しなんですが…、そろそろ薬で押さえるのも限界かと…化学療法を…」
「それって…入院って事ですか?!」
「…はい。」
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