今…君のために出来る事 今…君のために生きる事

「ねぇ…」
「何！」
考え事してる時に話掛けるなよ。思わず私は大声を出してしまった。…こいつの事なのに…なんでこいつ自身の前で考えなきゃならないんだろ？
「…ごめん。」
何もしてないんだから謝る事ないのに…。
（あっ…。）
その時だった…。いつもと違う理由がわかったのは…。表情がいつもと違う…、何か…迷ってるみたいな顔…。
「…いいよ。別に何でもないから。」
何気なく目をそらし、私はそう返事をした。…もしかして、他の女と会ってきた？


「…」
さっきから…あいつは黙ったままだった。付き合ってから…何度も…いや、毎回だったけど、今日はイヤに重い感じだ。
「…ねぇ、何であんたは私に惚れたの？」
もう、そんな空気に耐えきれず、私から話を切り出していた。


「さぁ…。でも、気紛れじゃないよ。何か放っておけなかったっていうか…だからかな？」
SAEにそう聞かれ、僕は答えらしくない事を言った。答えらしくない…頭の中が空っぽで…考えられなかった。…言った後思い返せば、SAEの寂しそうな瞳に惹かれたのかもしれない。
「…バカじゃない？」
SAEは呆れた顔をしていた。もし、SAEがあの時のSAEじゃなかったら…好きになってなかったかもしれない。