今…君のために出来る事 今…君のために生きる事
僕自身も…何も変わる事なく朝を迎えた。色々考えて…最終的に心配や迷惑をかけるし、結局、家族にこの体の事を告白した…。家族の悲しみの中にいた僕は…なぜか冷静だった。伝える時も冷静だったし…。きっと自分の事なのに他人事の様に思っていたからなんだろうな…。そんな中で…僕は自分なりの決意をした。それは…『死』という現実を目の当たりにするまで…今と変わらない生活をするという事。そして…昨日見た夕陽の様に…今、自分の周りにある事で幸せを感じる事…だ。今まで当たり前の様に感じていた事が…昨日の様に感じる事は…まだあるだろう…。何も変わらなくても…だ。僕はそれを探す…。その決意を抱いて…僕は今日もバイトへ向かった…。
昨日まで、毎日を忙しく生きていた。それは…病気を知った今でも同じ…それがこれからの生き方。その時がくるまで…。でも正直…病気という事を紛らわせたいというのもあった。
「おっす!」
朝から僕に話かけてきたのは…晶だった。晶は子供の頃からの腐れ縁の友達だ。
「太郎、昨日何してたん?」
晶は僕とはかなり違うタイプの人種だ。明るいし…今風な感じだし…。僕はどちらかというとあまり目立たない方だ。そんな僕を…晶はよく気にかけてくれた。
「何って…寝てた。」
「寝てたぁ!?」
もちろん…嘘だ。晶は僕の言った事を聞いて笑っていた。
「お前なぁ…休みの時くらい外出ろよ!寝てばっかじゃ女出来ねぇぞ!!」
「余計なお世話だよ!」
今度は僕が笑ってしまった。…病気の事は気付いてない。まぁ…まだ何か変化があるわけでもないし…こんな感じじゃあ言わなきゃわからないだろう。
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