今…君のために出来る事 今…君のために生きる事
「バ~カはお前だ!顔赤いぞ!」
亜紀は舌を出して言った。顔が熱い…。でも…なんか複雑な気分だ。…SAEはもう僕の彼女じゃないんだし…。
「ちょっと私…飲み物買ってくるね。二人の邪魔しちゃ悪いし!」
また…そう茶化しながら…亜紀は部屋を出て行った。…亜紀に別れた事…言ってあるはずなのに…どういうつもりなんだ?

「SAE…ごめんね?」
「何が?」
あいつが私に謝ってきた。理由は何となくわかる。でも、私は『敢えて』知らないフリ。
「亜紀の事だよ…。別れた事知ってるはずなのに…迷惑だよね…。」
「別に迷惑じゃないし。いいじゃん。」 なんで迷惑かなって思ってしまった。逆だろ?自分が振ったはずの私が来たら迷惑…だよね?

「…ちょっとラジオでも着けるね。」
亜紀さんが出てって数分が過ぎた頃、私達はお互い、何も話す事はなかった。ただ、静かに時間が過ぎる。でも、やっぱりそれは…私にとって嫌な時間じゃなかった。
「あっ…。」
あいつがラジオのスイッチを入れた瞬間…『N』の曲が流れ出していた。ゆっくり静かな音…とても優しい感じ… 。
「また…SAEに逢えるなんて思ってなかった。本当は…」
それ以上…言ってくれなかった。
< 143 / 214 >

この作品をシェア

pagetop