今…君のために出来る事 今…君のために生きる事

昨日の今日だし…晶には前の日にここで会ったし…、体に変化があっても…病気の事は誰にも言わないつもりだ。
「彼女…か…。」
お互いが持ち場につき、ひとりになった時、僕の口からボソッと出てしまった。
「うっ…！」
そして同時くらいに…目眩が僕を襲ってきた…。幸か不幸かはわからない…、いや、幸かな…。周りには誰もいない…。僕は気づかれる心配もなく…店内のトイレにかけ込んだ…。

（気持ちわりぃ…。）
何も変わらない…と自分で思わせたかった。でも現実は…昨日よりも病気が悪化していく。…トイレに入った瞬間に吐き出しているのが何よりの答えだった。昨日から…ほとんど何も食べてないのに…それでも吐き気は止まらない…。
『病気を根本的に治療するのは…正直、難しいです。今…出来るのは…進行を少しでも遅らせる事と…痛みを和らげる事しか…。』
それが…ドクターが僕に言った事…。痛みを和らげる薬…それの副作用…。
死ぬのは別に構わないと思ってた。何も知らなかった昨日までは…。でも、全てを知って命の期限が分かると…やり残した事より、死にたくないってのが本音になっていた。…僕は…なんの為に生まれてきたのかもわかってないのに…まだ…何もしていないのに…。