今…君のために出来る事 今…君のために生きる事
第七章 キス
亜紀が言った通り、また…SAEが来てくれた。期待はしていた、けど…本当に来てくれたなんて…僕は少し戸惑っていた。
「なに?迷惑なら帰るよ。」
「めっ迷惑なんかじゃないよ!」
迷惑なわけないじゃないか…。帰って欲しくなくて…僕は大声で言ってしまった。
「ねぇ…、あんたさ、私に逢ってくれなかった時とかって…ここにいたの?」
ベッドの脇にある椅子に腰掛けながらSAEに言われた。 SAEに逢わなかった時…その通りだ。
「…うん。隠してごめん。前から体調悪くてさ…。心配掛けたくなかったから言えなかったんだ。」
「そう。…別に心配はしないけど。…それならいいんだ。」
SAEらしいな…。サラッと僕にそう言った。でも…なんかSAEの表情は…吹っ切れたというか…満足したような感じだ。
「…なんで?どうかした?」
「…別に。」
不思議とSAEは笑ってた。…いつもなら聞き返したら怒るのに…だ。それが笑ってる…僕はそんなSAEをただ見ていた。
「どうしたの?」  じっと見ている僕に…そう聞かれた。「なんか面白かった?なんで笑ってるの?」
SAEのその笑顔の理由…聞くべきか迷ったけど…聞いてみた。
「うるさいな!」
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