今…君のために出来る事 今…君のために生きる事
「目が覚めても…いてくれるかな?」
その不安…子供が母親に甘える様に…そんな事。でも、本当に今の僕はそんな心境だった。もし、目が覚めた時…これが夢だったんじゃないかって不安…。
「…ホントバカだね。…ちゃんといるから。あんたのお姉さんとも約束したし…ね。」
SAEの答え…しっかり僕の『心』に届いていた。それを聞いて僕は目を閉じ…布団の中から手を出した。
「ありがとう。じゃあ…指切りしよう。」
僕は…子供みたいな事を言って小指を出した。きっとSAEは呆れて『バカ』とか言うんだろうな…。
「おやすみ。」
SAEはそう言った。『バカ』って言われなかったけど…ほんの少しだけ…小指に温かい感触を残してくれた。SAEの…小指の温もりを…。
「おやすみ…。」
昨日まで…僕は眠るのが怖がった。そのまま死ぬんじゃないかって、そして死ねればって思ってたから。でも、今は側に大切な…大好きな人が居てくれる…。それだけだけど…僕は大きな安心感に包まれていた。

「…ねぇ。」
「…」
呼び掛けても…返事がない。眠ったみたいだ。…本当に良く眠ってる。
(…死んでるみたい…。)
何を私は考えてるんだ?寝息さえ聞こえない程に眠るこいつを見て…有り得ない事を考えてたしまった。
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