今…君のために出来る事 今…君のために生きる事
「してないよ。ムキになって…どうしたの?」
「どうしたのって…あんたに何かあったら…約束したし…。」
私がムキになったのを見て…不思議そうに聞いてきた。どうやら…本当に寝てたらしい。
「…じゃあ、そろそろ帰るね。」
「あっ…うん…。」
もう、時間ギリギリだった。何でかな…帰ろうとしても…立てないんだ…。『帰る』って言った時の…あいつの顔…見ちゃったから…。寂しそうな顔…そんな顔…しないでよ…。
「…明日も来てくれる?」
「…わかんないよ。私だって…色々あるんだから…。」
素直に…『来る』って言えない自分…。裏腹な言葉ばっか出てくる…。そして、ようやく…私は立ち上がれた。
「…気をつけてね。」
「…うん。」
そのまま…振り返らず、私は部屋を出ていた。あいつの顔をまた見たら…本当に帰れなくなりそうだから…。


(明日も…来てくれるのかな…。)
消灯時間が過ぎても…そんな事をベッドの中で考えていた。…もし、SAEが来てくれなかったら…僕は、この夜の闇に怯えていただろう。…違う。SAEと出逢わなかったら…とっくの昔に怯えていた…。開けっ放しの窓から…風が入ってくる。横になってる僕の頬に…優しく当たる…。こんな事を思えるのも…SAEがいてくれたからだ…。
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