今…君のために出来る事 今…君のために生きる事

第三章 「好き」という言葉

「あいつ…いつも一人だよな。」
晶が僕の側でボソッと言ってきた。あの娘はいつも…晶の言う通り、一人で来ては決まってコーヒーだけ注文してタバコを吸って帰って行く。
「あいつ…高校生だな。前に制服で歩いてるの見たんだよ。」
聞いてもいないのに…晶は言う。しかも…何か知ってる様な口調で…。でも、そんな事は気にならなかった。彼女はいつも一人でここにくる。同じ年代の娘達も客で来てるけど…みんな彼氏とか友達といる。…あえてやってるのかわからないけど…彼女は離れた席にポツンと座る。一人でも大丈夫という様に…。近寄り難い雰囲気で…。でも、そんな彼女の瞳が…なんか寂し気に僕の目には映っていた。
（あっ！）
彼女を見つめてるうち、有線から僕の好きな曲が流れ始めていた…。

「ふぅ…。」
また…ため息だ。最近…いや、もっと前からかな…。よく出る様になっていた。なんでこんなに出るんだろ？…私はタバコを吸いながら考えていた。マユミと遊んで…、確かに笑顔を作って疲れちゃあいるけど…楽しんだはず…。楽しんだ後にでるため息…。…くだらない。そんな事に答えなんかあるわけない。考えない事にしよう。
『君の全てが…』
雑音に混じって…店の有線から私の嫌いな曲が流れだした。