今…君のために出来る事 今…君のために生きる事

「………」
二人だけの部屋で…話があるはずのSAEが…黙ったままだった。医療用の機械の音が…部屋の中に響く。…僕は考えていた。もう…これじゃあ病気の事…隠せないって…。…言うなら…今しかないって…。
「…SAE、あのさ…」

「亜紀さんから聞いた。」
「?」
きっと…こいつは自分の病気の事、説明するつもりだってわかった。こんなんで隠せる訳ないし…、言われる前に…私から言ってやった。
「…あんた、もう助からないんだってね。なんでそんなになって…私に『好き』って言ったの?普通さ…逆じゃん?私を好きになってから病気発覚、そして別れるってのが…」
「…そんなのわかってる。」
人が話してる途中に…あいつに言われた。でも…それ以上は何も言わなかった。こいつが…どんな想いで私と付き合ってたか…さっき聞いてわかってたつもりだけど…、私に何も言わなかった事に…正直、ムカついてた。でも…私の言った事にそう答えたあいつ…。切ないよ。
「じゃあ…なんで僕の所に戻ってきたの?別れた時…もういいって言ったのに…。戻って来たから…」
「バカじゃない!?」
キレたみたいに私は言った。あいつが言うみたいに…戻って来なきゃ…何も知らずにいれたのに…。
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