今…君のために出来る事 今…君のために生きる事
「SAE…。」
こんな体で…そんなSAEの事がわかる…正直、辛い。もっと早くわかってたなら…もっと別な歩き方が…あったかもしれないのに…。
「何情けない顔してんのよ!?」
もしかしたら…それはSAEだって同じなのかもしれない…。強い口調で言いながら…SAEは…泣いていた。そして…それを隠せないのに…隠すみたいに深く息を吸った…。
「もう…あんたの勝手にすればいいよ…。…じゃあね。」
急に…冷静な表情になり、そう言い残して…SAEはドアへ向かっていた。
「あっ…。」
何も言い返せない僕の…かろうじて出たその言葉に…、SAEは一瞬立ち止まったけど…振り返りはしなかった…。僕には…SAEを止める権利なんて…ない…。今日まで…隠し事をして…嘘をついていたのだから…。

「SAEちゃん!」
病室を出た私は…逃げるみたいに走り出していた。亜紀さんの声…聞こえたけど、立ち止まらずに…。もし…あのまま…あいつに何か言われたら…私は…私は、壊れていたかもしれない…。あいつが前に言ってた…『できるだけ…』の意味も…今日、理解出来た…。けど…あんまりにも急過ぎて残酷な現実を…私は受け止められなかった…。…本当は受け止めなく…ないんだ…。
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