今…君のために出来る事 今…君のために生きる事

「何してんの?」
病院を飛び出して…私はあてもなく街を彷徨いてた。もう…辺りは闇に包まれている。こんな時間にここを歩くなんて…久しぶりだ。
こんな時間だと、やっぱり声を掛けてくる奴らがいる。簡単なメイクは…すでに崩れて…それが人に見られたくないからかな…私は俯きながら歩いてた…。それでも…だ。
「うるさい!!」
別にそんなの求めて歩いてるんじゃないし…放っておいてほしい。家に帰ればいいんだろうけど…なんか帰りたくない…。
声を掛けられる度…八つ当たりするみたいに私は怒鳴りつけてた。それで…気が晴れるわけでもないのに…。
「ちょっと!」
「なんだよ!うるせぇな!!」
呼び止める奴等の中に…女の声も混じっていた。顔なんて見てないけど、そんな事構わず…怒鳴りつけた。
「SAE…。」
名前を呼ぶその声に…聞き覚えがあった…。私は顔を上げた。
「…マユミ…」
私が怒鳴りつけた女…マユミだった…。そう言えば…私達はよくこの辺りをフラツいてたし…居ても不思議じゃないよな…。でも…マユミと顔を合わせるのって…あの合コン以来だ…。
「ちょっ…SAE!!」
私は何も言わないで…そこから逃げ出した…。見られたくない奴に…見られた…そう感じたから…。
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