今…君のために出来る事 今…君のために生きる事
 僕は振り返りながら返事をした。『全然!』って答えたかったけど…二時間近く待たされた。
「…ごめん。」
その一言だけ…。それで遅れた事が報われるかなんてわからない。それでも…、今、僕の前にSAEがいる…。それだけで…充分かもしれない。
「どうしたの?ひとりで笑って…。…ちょっと顔色悪くない?」
SAEに逢えた事で…感情が顔に出てしまったみたいだ。…それ以外の物まで…。
「ん…昨日ちょっと寝れなかったから…。」
「ふ~ん…。」
僕は…あながち嘘じゃあないけど…とっさに言っていた。とっさにしては…多分、嘘に聞こえない…はず。でも…SAEの表情は曇っていた。…疑問にも似た表情…。顔色が悪いって…、確かに体調はあまりよくないかもしれない。薬を飲む時間も近い…。
「まっ…いいや。行こ。」
SAEはそう言うと…何事もなかったみたいに歩きはじめた。初めて見る…太陽に照らされたSAEが…とても眩しかった…。
ゆうべ…私とメールした後…何していたんだ?私の中に…そんな疑問が浮かんでいた。…もしかしたら…そんな感情が顔に出たかもしれない。…それが悟られるのが嫌で…私は歩き出していた。妬いてる訳じゃない。…私だって好き勝手にやりたい…。
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