今…君のために出来る事 今…君のために生きる事
私は今まで男を名前で呼んだ事はない。それが例え誰であってもだ。もちろん…特別なんてない。私は名前で呼んで…必要のない感情を込めたくない。私は私のルールを守る。立ち止まって振り向いて…私はぶっきらぼうに答えた。それも…あいつに当てつけるみたいに…。
「わかった…。」
自分が話をしてる途中に、しかも意見を覆られたのだ。当たり前の事だけど…あいつの顔は暗くなっていた。私を好きになって付き合ったからって…少しでも自由に出来ると思ったら大間違いだよ。私は…近付いてくる男にはいい顔をしてやる。だって利用できるから。だけど…付き合うとなると話は別。男が惚れるなら…対等じゃない。主導権は私。そうすれば別れるのなんてわけない。…私から人を好きになる事はない…。
「…わかったんならいいよ。」
太郎の暗い顔をなぜかこれ以上見たくなくて…私はまた歩き出した。


「ねぇ、どこ行くの?」
SAEの言葉が僕の耳に入っていたけど…少し…、いや、かなりのショックを受けて…すぐに返事ができなかった。やっぱり…彼女には名前で呼んで欲しいし…SAEがああ言うんだから…もう何も言えない…。
「ねぇ!!」
「あっ…えっと…。」
もっと強い口調でSAEが呼ぶ。
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