今…君のために出来る事 今…君のために生きる事
もちろん…ここはトイレ。洗面台にコップなんてない。手で水道から水をすくい飲むしかなかった。それで…むせてしまった。
「ゴホッ!ゴホッ!」
むせりが止まらない…。少しだけだけど…涙まで出てきた。
「ゴホッ!!…嘘だろ?」
口を抑えてた手のひらに…生温かい感触…。手の中に…少しだけ血が付いていた…。
(…大丈夫だ。)
声に出さず…僕は手を洗い流す…。大丈夫と繰り返しながら…。それと…何が大丈夫なんだと考えながら…。水と共に血が流され…それを確認して、トイレから出て行った。

(遅いな…。)
もう、タバコは二本目だ。一体いつまで待たせるんだ?さっきのお返しなのか?
『ガチャ!』
ドアの開く音がして少しした後、太郎の姿が見えた。
「長いよ。」
戻ってくる最中に私は言った。
「?」
それを聞いたから?あいつは席に座らないで私の方に向かってきた。
「何?」
すごい真剣な顔…私は『素』で近づく太郎に言ってしまった…。こんな顔の太郎は…最初に話した時以来かもしれない…。
「やめなよ。」
あっという間だった。そう言われた時には…私の吸っていたタバコは取り上げられてた。
「何でよ。」
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