今…君のために出来る事 今…君のために生きる事
結構…頑固なのかな…?でも…今度はさっきと違って…本当に願う様な感じだ…。
「…わかった。」
そんな感じだから…もう、そう答えるしかなかった。もっと言い返したかったけど…きっと太郎は折れない…そう確信したからだ。今まで男と言い争って負けた事がないのに…。みんな私の意見に折れるのに…こいつは絶対に折れない…。でも、嫌な感じがしないから不思議だ。
「…あんたはあるの?」
ひとつ息をして…私も同じ事を聞いてみた。
「あるよ。SAEと…出来るだけ長く…一緒に歩いて生きていく事。」
「はぁ?」
何の迷いもない様に太郎は答えた。不思議な答え…。けど、…私はまだその答えの意味がわからなかった…。

僕の答えに迷いはなかった。SAEは変な顔で僕を見ている…。あんなに悩んで付き合ったのに…やっぱり答えはそれしかないと思ったからだ。SAEにとっての僕は…どんな役割かわからない。けど、生きている限り…一緒にいたい。僕はこの時、そう思った。期限付きの命だから…こそだ。

「今日はごめんね…。何か…楽しくなかったでしょ?」
夕方の五時位だった。何か抜け出せない用事があるとかで…太郎は帰らなきゃならないって事らしい。あの後…店を出て街をフラついて…ただ、それだけ。
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