今…君のために出来る事 今…君のために生きる事
「…悪い。ごめん…。」
言い訳したかった。でも、今は…謝る言葉しか出なかった。晶は…後ろを向いたままだ…。その肩は…震えていた…。
「…何でだよ。」
そう言った瞬間に…震えが大きくなった気がした。ずっと後ろを向いている理由が…わかった。晶が僕の事を良く知ってると同じ様に、僕も晶の事を知ってる。晶は…昔から絶対に人前で泣かない奴だって事も…。
「晶…。」
もう…僕は何も言えなかった。ただ…晶の背中を見てる事しか…出来なかった…。
「…彼女は…知ってるのか?」
晶は…今の心境を知られたくないのか、上を向いて話し出した。
「…知らないよ。お前にも言えなかった事だし…。…教えてない。」
「だからか…。あの娘と付き合うまでのお前の態度は…。」
真実を知って、あの時の僕と…晶の中で重なったのだろう。
「…あぁ。」
答えはそれしかなかったから…僕はそう答えるしかなかった。
「…そうか。」
晶は納得したみたいに小さく言った。
「じゃあ…俺そろそろ帰るわ。」
僕は…その言葉を聞き、病室を見渡した。壁にあった時計は…とっくに深夜を回っていた。
「…あぁ。晶、この事は…」
「誰にも言わねぇよ。…明日はゆっくり休めよ。
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