【短編】雪と鯨とフォトグラフ
……その言葉たちは、驚くほどに、今の私にぴったりで。
「だから、由紀も願ってて。雪が降りますようにって」
一か八か。
降るはずのない雪を待つ鯨。
バカみたい。
無理に決まっているのに。
でも、だったら……。
私だってバカみたいに信じてみようかな。
誰かさんみたいに能天気に願ってみようかな。
叶うはずのない恋を。
“好きだ”の一言を。
鯨と、同じ気持ちになれる事を。
私はさっき拾った写真をそっと鞄に潜ませた。