【短編】雪と鯨とフォトグラフ
そう思うと、鯨がもっと恋しくなる。
哀しいくらい恋しくなる。
奇跡なんて、起こるわけないんだ。
雪なんて、降らない。
そんな簡単にいくわけない。
私の気持ちだって、届くわけない。
いらない。
こんなに苦しいなら。
こんなに痛いなら。
いらない。
膝に、大粒の涙が一粒落ちた。
「いらない……!」
私はキッと写真を睨み、びりびりに破り裂いた。
加減を知らない強さで、思い切り破いた。
いらない。いらない。いらない。
鯨の夢を破ったようで、
かすかに抱いていた希望を破ったようで、
私は目の前が真っ白になった。
破いて息を乱して、
私は今まで鯨と過ごしてきた時間を思い出した。
楽しかった。
幸せだった。
鯨の笑顔だけが頭に張り付いて、離れなくて。
私は膝を抱えてうずくまった。
もう戻れないかもしれない。
今までの2人には戻れないかもしれない。
そんなの嫌だ。
好きだよ、鯨。
大好きだよ……―。
哀しいくらい恋しくなる。
奇跡なんて、起こるわけないんだ。
雪なんて、降らない。
そんな簡単にいくわけない。
私の気持ちだって、届くわけない。
いらない。
こんなに苦しいなら。
こんなに痛いなら。
いらない。
膝に、大粒の涙が一粒落ちた。
「いらない……!」
私はキッと写真を睨み、びりびりに破り裂いた。
加減を知らない強さで、思い切り破いた。
いらない。いらない。いらない。
鯨の夢を破ったようで、
かすかに抱いていた希望を破ったようで、
私は目の前が真っ白になった。
破いて息を乱して、
私は今まで鯨と過ごしてきた時間を思い出した。
楽しかった。
幸せだった。
鯨の笑顔だけが頭に張り付いて、離れなくて。
私は膝を抱えてうずくまった。
もう戻れないかもしれない。
今までの2人には戻れないかもしれない。
そんなの嫌だ。
好きだよ、鯨。
大好きだよ……―。