【短編】雪と鯨とフォトグラフ
「何で…さっきの子は…?」
「ただ俺が休んだ時のプリント届けてくれただけ」
「……本当?」
「うん。俺、由紀にさ。雪が降ったら言おうと思ってた事があって」
「……うん」
「でも奇跡は待つものじゃなくて、自分で起こすものだって気づいたから。俺、由紀が好き」
心の雪はあったかい。
「ずっと傍にいられたら、俺それだけでいい。これからも一緒にいたい」
涙が溢れて
気持ちが溢れて
愛しさが溢れて
鯨が、私の中で溢れて。
ずっと待ってたよ。
その言葉を。
その言葉こそ、奇跡みたいだよ。