【短編】雪と鯨とフォトグラフ
そんな私が見つけたもの。
アパートの傍にちょうど黄昏るのに丁度いい
陸橋があるじゃあないか。
さっそく私は目をつけて、階段を上り街を見渡した。
うわぁ、絶景。
あたり一面朱色に染まった街が目の前に広がる。
カラスが鳴いて、空に弧を描いた。
陽が落ちると、
一番星がきらりと光った。
白い月はぼんやりと浮かんでいる。
私はその景色を、
うっとりと撫でるように見つめた。
これぞ、生きていてよかった、と思う瞬間。
ああ、いい。
ちょっと泣きそうかも。
そんな時だった。